味の素エンジニアリング(AJEC)は1973年に設立された、食品・ライフサイエンス関連のエンジニアリング会社です。グループ会社のほか国内外の食品メーカーに対して、工場建設から設備保全、再構築まで、工場ライフサイクルの観点も含めた提案で食品業界の発展に貢献しています。
「食品工場の建設やメンテナンス施工には、衛生管理・生産管理等の面で、一般的な工場建設とは異なるノウハウや検証すべき項目があります。当社は食品メーカーから生まれた会社ですので、専門的な視点からの品質の高いアウトプットには自信があります。食品関連の工場においても、近年は全国的に人員不足や建屋・設備の老朽化が進んでいます。当社への引き合いが増加している一方で、従来とは違うプロセスでの設計・施工の方法を確立していかなければ、お客さまのニーズに応えていくことができないという課題を抱えていました」(川崎事業所 総合推進グループ 小林隆之氏)
「レーザースキャナーを導入する以前は、施工予定の現場の図面を作るために、私たちは何度も現場に赴き、採寸や配置の確認をする必要がありました。InfiPointsを導入したことによって、いつでも何度でも自社のオフィスから、デジタル化した現場を確認できることで、3Dスキャナーの導入効果を実感することができました。現場調査にかかる時間は従来の3分の1以下になりましたし、設計精度や作業員の安全性も大幅に向上させることができました」(小林氏)
「お客さまとの打ち合わせにも点群データを使うようになり、従来の図面でのコミュニケーションに比べ、お客さまとの間の、施工イメージのズレがなくなりました。点群の中にCADモデルを配置させることによって、施工後の出来上がりのイメージをお客さまに正確につかんでいただけるため、施工前の段階から多くの気づきが生まれ、私たちは具体的なフィードバックをいただけるようになりました。点群データを使うことで、お客さまの要望に沿った設計ができるようになったと感じています」(川崎事業所プロジェクト部 村岡隆氏)
「InfiPointsを活用してご提案したお客さまから『点群データをもっと広く関係者と共有できないか』といったリクエストをいただくようになりました。さらに検討を進める中で『設計から施工後のメンテナンスまでを、点群で管理できるようにならないか』と、メンテナンスを管理している当社だからこその気づきがありました。これまでの設備管理システムでは表形式の台帳が多く使われ、ユーザーが必要な情報にたどり着けなかったり、膨大なデータの入力に手間が掛かり過ぎて継続運用ができなかったりするといったケースがよく見られました。InfiPointsを使えば、現場が再現された点群データの任意の場所に図面のPDFファイルなどを添付することができるので、ユーザーは直感的に素早く必要な情報にアクセスすることができます。点群が関係者に共有され、コミュニケーション媒体になれば、設計業務だけでなく、設備管理・補充部品管理・点検のワークフロー管理・補修改造工事といった工場ライフサイクルの観点でのイノベーションにつながると感じました」(小林氏)
「点群データをお客さまやパートナー企業と共有する方法として、クラウド環境を整えることにしました。現場を定期的に計測した点群データに、当社が設備管理に関する資料や点検計画の情報を付与してクラウドにアップロードすることで、お客さまやパートナーはインターネット経由で必要な情報を手軽に確認することができます。関係者の間で現場のリアルな状況と必要な資料を共有できるので、施工後の保守メンテナンスにおいても、現場調査の回数や作成する資料の数、そして打ち合わせの回数が少なくすみ、当社だけでなくお客さまを含めたすべての関係者の業務の質的向上と効率化が実現できました」(総合推進グループ 諸橋篤樹氏)
「食品工場建設の業界でも、クラウド上の点群データ活用など新しい技術を取り入れていくことで、革新的な顧客体験をお客さまにご提案し、提供価値を高めることができると考えています。食品工場建設のエキスパートを自負する当社が先駆者になれるよう、今後も点群データを幅広く活用していきます」(小林氏)