「当社は建設コンサルタントとして地質調査業務や設計業務などを行っていますが、最近では、公共のインフラ設備の点検・修繕設計のほか、長寿命化計画や機能保全計画の策定といった業務を自治体から請け負うことが多くなってきました。また、建設業界では近年、国土交通省がBIM/CIMの推進を大きな方針として掲げており、現場レベルでも、成果物として3Dデータが求められることも多くなりました。そして今回、徳島県内にある排水機場の機能保全計画策定の仕事に携わることになり、その業務内容に既設構造物のBIM/CIMモデルの作成が含まれていました。これまでも設計業務等においてCADソフトを使って3Dモデルを作ることはあったのですが、既設構造物を、正確に、効率よく3Dモデル化する方法についてははっきりとした見通しがなく不安がありました。また、発注者である自治体側も、実現方法について明確な答えを持っておらず、むしろ当社から新しい方法を提案していかなければならないと感じました。そういった経緯もあり、社内で対策を検討する中で、外部に発注することも考えましたが、技術者の技術力向上を促進させるため、自社で作成することに決定しました。そこで、さまざまな3Dソフトを検討した結果、点群データからの自動モデル化機能に定評のあるInfiPointsが新たな導入ツールの候補に挙がり、さっそく私からエリジオンに問い合わせしてみることにしました」(地域計画部 冨野佳孝氏)
「当社は4年前に三脚型の3DレーザースキャナーやUAVを導入しました。それ以来、さまざまな現場で3D計測を行い、点群データの基本的な処理を行った上で自治体に納品する業務を手掛けてきました。ただし、あくまで点群を見られるようにするところまでしか求められておらず、本当にInfiPointsで点群からCADモデルを作ることができるのか自信はありませんでした。エリジオンとの初めてのWeb会議はそのような中で行われたのですが、そのときエリジオンが水門のサンプルデータを使ったデモを用意してくれていました。まさに私たちが手掛けようとしている施設に似た場所のデータで、非常に驚きました。点群からCADモデルがしっかり作り出されるのを見て『これはいける』と希望が持てました」
「InfiPointsの導入検討と並行して、数年前に導入した別の点群ソフトでも点群からのCADモデル化を試みたのですが、うまく使いこなせていなかったのか、意図したモデルを作ることができませんでした。InfiPointsを試してみると、最初から『やりたいことができる』という印象を受けました。今回の案件では屋外の大きな建物や構造物だけではなく、屋内の設備や配管などもCADモデル化することが求められていました。InfiPointsは設備設計の業界での実績が豊富と聞いていましたが、評判通りだと納得しました」
「InfiPointsを使ってみて、点群にリンクを埋め込む機能もとても助かりました。国交省のBIMについてのガイドラインでも、データに関連した情報が添付されていることが望ましいとされています。実際のところは、コメントやメモが添えられる程度にとどまることがほとんどで、いざ資料を確認しようとすると、別の場所から該当ファイルを探して開かなければならないのが現状です。InfiPointsの注記付与の機能では、点群の任意の場所にWebページのURLや関連資料の保存先のパスをリンクさせられます。点群を見ながら1クリックで資料が開く機能は、データを納品される自治体や後工程の方にとっても便利なはずで、ぜひ私たちから提案したいと思いました」
「InfiPointsの導入検討時、担当の方にはいろいろと細かな質問もさせてもらいました。当社では毎日のようにCADや解析のソフトを使っています。そのため、ソフトによってはメーカーさんや代理店さんより自分たちの方が詳しくなっていることがあります。その場合、問い合わせしても明確な答えをもらえないことも多いと感じます。一方でエリジオンについては、担当の方も製品を本当に熟知していると感じました。質問に対して的確な答えをスピーディーに返してくれ、例えば三脚型のスキャナーとUAVでそれぞれ計測した点群データの精度の違いについて相談したときには、InfiPointsで2種類の点群データを合成した上でそれぞれの差分をわかりやすく示してくれました。そうした対応からも、自社製品だけでなく3D計測や点群データについて幅広い知識と経験を持っていると感じ、安心しました」
「さっそくInfiPointsで当該施設の点群の合成、モデリングを行い、さらにスキャンできない地下設備については、保管されていた2D図面を見ながら使い慣れたCADソフトで3D CADモデルを設計しInfiPointsにインポートして点群の中に配置させました。こうすることで、目に見えるところから隠れた部分まで、施設全体を一目で見られるデータに仕上がりました」
「データを完成させ、自治体の担当の方に説明に伺った際、先方から『CADモデル化がここまでできるのか』『新しい技術をよく提案してくれた』といった反応をいただき、大きな手ごたえを感じました」
「ニタコンサルタントの強みは、新しい技術を臆せずに取り入れ、部署の垣根を越えて連携しながら高い総合力を維持している点です。今回InfiPointsを導入したことで、まずは私が点群データの具体的な活用方法をイメージできました。この経験をほかの部署や担当者に伝えながら、今までの仕事のやり方を変えたり、これまで手掛けてこなかったような仕事にも手を挙げたりできないか問いかけていきたいと考えています」
「DX(デジタルトランスフォーメーション)、BIM、CIMといった言葉が当たり前のように使われるようになり、デジタル化の勢いはさらに強まっています。しかしいざ現場で取り組もうとしたとき、まず何から手を付けていいのか、どんなソフトをどの順番で使ったらいいのかといったことは、自治体も、企業も、誰もが手探りというのが実情です。そうした中にあって、今回、自治体の期待値を超えるようなよいアウトプットを納めることができ、CADモデル化の一つの方法を具体的に示すことができたことは、『コンサルタント』を謳う当社にとって何よりの成果であると思います。これをきっかけとして、今後は請け負う公共事業の幅を広げ、さらに民間企業からも3Dデータ活用に関する相談を受けられるようになれば、徳島の土木業界のデジタル化に微力ながら貢献していけるのではないかと考えています」