ポポロプラントはLNG基地・化学プラント・食品プラントなどさまざまなプラントの配管設計・建築設計・3D計測を手掛ける老舗企業です。近年では新設設計に加えて既存プラントのメンテナンスや改造に関するプロジェクトを請け負うことが増え、現地調査が従来にも増して重要な業務になっています。
「既設プラントの改造は新設と異なり、いかに正確に現場の状況を把握できるかが大切です。前提が間違っていてはその後の設計が無駄になってしまいます。そのため丁寧に現場の採寸を行う必要がありますが、一方で我々は常に多くの現場を抱えています。現地調査の生産性を上げることは長年の経営課題の一つでした」(前川光久社⾧)
現場調査の生産性向上の解決策として現場の3D計測の実施を視野に入れ、ポポロプラントは5年にわたって3Dスキャナーの導入検討を行いました。その結果、2016年にFARO社の「Focus3D X 130」を購入しました。
「これまで 二人がかりで 1 週間以上もかかっていたプラント機械室の現地調査が、3Dスキャナーを使うことでわずか 1 日で完了するようになりました。生産性は約10倍です。入り組んだ鉄骨や配管、バルブなどの部材寸法を一つずつ測るような手間がいらず、現場で 20カ所ほど場所を変えて測定するだけで、図面になかった部材まで、正確に 3D 形状を測定できるようになりました」(前川光久社⾧)
既存プラントの場合は竣工時の図面があっても、⾧年の運用を経て図面にはない設備が追加されていることも多く、点群データで現場のありのままを記録しておくことでその後のメンテナンス時にもデータを有効活用できるという将来的なメリットもあります。
3Dスキャナーでの計測により現場調査時の作業時間は大幅に短縮されました。またオフィスにいながら現場の様子を細かく見返すことができ、施工内容の検討にスムーズに移行できるようになりました。
しかし計測した点群データを扱う段階で新たな課題が生じました。
「当時はデータ容量が大きな点群データの表示がうまくできなかったり、点群データにCADデータを重ね合わせて見られなかったりと、せっかくの点群データを生かし切れていない状態でした。また後工程の配管設計・建築設計にも点群データを利用できていませんでした」(前川光久社⾧)
そこでポポロプラントは点群データを多面的に活用できる専用ソフトのリサーチを行いました。
「FARO社からの紹介もありInfiPointsを知りました。試してみると点群データの表示の速さ、配管形状の自動抽出の精度が求めていた以上のパフォーマンスで驚きました。他にも複数点群の合成、ノイズ除去などから、フライスルー動画の作成、InfiPointsを利用していないクライアントやパートナー会社に点群を見てもらうことのできる閲覧用ファイルの作成、VR視聴などまで、機能が充実しており点群データをしっかりと業務効率化に生かし切れると感じました」(前川光久社⾧)
InfiPointsを正式に導入した後には、特に配管モデル作成の効率化に大きな効果が発揮されました。
ポポロプラントでは現在、点群データの活用範囲の拡大が検討されています。
「配管設計の効率化に続いて、新規設備の設置・搬送の検討をInfiPointsの干渉チェック機能を使って行いたいと考えています。また工事用のクレーンの設置に関して事前に検討することにも応用できるかもしれません。シミュレーションで現場調整がなくなれば一段と効率化を進めることができます」(前川光久社⾧)
またポポロプラントが現在社外への説明用にCGで作成している施工動画の一部も、点群データに置き換えることでコスト削減とスピードアップにもつながると期待されています。
「CGはきれいで見やすい一方で、完成までには費用と時間がかかります。手間をかけずに点群データにCADモデルを重ね合わせ、動画や閲覧用ファイルとしてお渡しすれば、それが十分にCGの代わりになる可能性があります。InfiPointsのたくさんの機能に自分たちのアイデアを掛け合わせて、さらに業務の効率化を図るつもりです」(前川光久社⾧)