「当センターは企業と一緒に新しい技術の本当の価値を見出していくことに力を入れています。展示室でただ製品を見せて終わりではなく、私たちが企業に代わって実際に手を動かし具体的な成果物を作成するところまで支援しています。それが『依頼試験』という取り組みです。時間単位で試験手数料をいただきながら、私たちが実際の現場を3D計測し、InfiPointsで点群データ処理を行います。産業技術センターという公設試験研究機関は全国の各都道府県にありますが、こうした踏み込んだ取り組みをしているところは少ないのではないでしょうか。いまは展示を見た企業から、自社の工場を計測してみたいといったお問い合わせをいただき、いろいろな現場に出かけています。点群データ活用の問い合わせは増えています」(スマートファクトリー推進係 小林氏)
・ 試験手数料: 3,100円/時間(令和6年度現在)
・ 内容: 職員による現場の3D計測とInfiPointsによる点群データ処理およびビューアーファイルの納品まで
・ 機材: FARO Focus S plus 150
・ ソフトウェア: InfiPoints
・ ソリューション紹介ページ
・ 問い合わせ
群馬県立産業技術センターは、現在、中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の支援に力を入れ、施設の一角には最新のデジタルソリューションを展示した「デジタルソリューションラボ(DSL)」を設置しています。そしてソリューションの一つとして、3Dレーザースキャナーの実物とInfiPointsを体験できるPCやヘッドマウントディスプレイも展示されています。
「コロナ禍もあってDXという言葉が急激に広がり、県内企業の多くの方にデジタルソリューションの実機を気軽に体験してもらう場を作ろうと2022年にDSLを開設しました。例えば、製造ラインにAIを使った検査機器を後付けできる仕組みや、特殊なセンサーを使う計測機器、ほかにもドローンを使った構造物の検査技術など、ものづくりの現場で実際に役立つような先端技術を集めて展示しています。DXといっても何をしたらいいのか、どんなことができるのかイメージを持ちづらい企業の皆さんを支援するのが狙いです。そのラインアップとして、3DレーザースキャナーやInfiPointsもそろえています。機材は決して手軽に購入できるものではないので、当センターが導入する意義は大きいと考えました」(同係 坂田氏)
現在、DSLの部屋にはFARO Focus S plus 150とInfiPoints、そしてInfiPointsから出力されたビューアーファイルを投影するヘッドマウントディスプレイが展示されています。
「センターに見学に来られる方の中には、3Dレーザースキャナーを見たことがなかったり、点群というものに初めて触れていただいたりする方も多くいらっしゃいます。当センターで用意したサンプルデータを見ていただくと、皆さん一様に驚かれます」(同係 狩野氏)
「問い合わせの具体的な事例として、大型装置が大量に並べられた工場のレイアウト変更に点群データを使えないかといった問い合わせがありました。装置の実物は繊細かつ重厚なマシンのため手軽に動かすことができません。そのためレイアウト変更の事前検討は慎重に行われなければなりません。従来は人が寸法を測って2D図面上で検討していたようです。それをPC上で高い精度で検討したいとの相談でした。私たちは3Dレーザースキャナーを持って現場に行き、3D計測を行いました。取得した点群データの合成・ノイズ除去を行い、さらにInfiPoints上で点群を元にした簡易的な装置のCADモデルを作成し、レイアウトの検討に活用しました」(電子機械係 三ツ木氏)
「当センターでは製造現場の他にも、山間部に建設された水力発電所などの3D計測も経験しました。現地に何度も出向くのが大変な場所で、さらに傾斜がきつく人が立ち入るのが難しかったり、足場を組まなければならなかったりするような現場でも、安全かつスピーディーに周辺の地形や建物を採寸できることを確認できました」(三ツ木氏)
「私たちがいろいろな現場を計測したりデータ処理をさせてもらったりした実感として、3D計測や点群データは実際にものづくりの効率化に役立つと考えています。当センターの点群データ活用のサポート体制を強化するためにも、InfiPointsを扱うPCの増設も検討しています。いま私たちが支援する機会が多いのは製造業の皆さんですが、InfiPointsは建築や設備施工を行うユーザーが多いと聞きました。今後は他部署とも連携しながらこれまでお付き合いのなかった分野の企業のサポートもできれば、当センターの価値もまた高められると思います。そして群馬県内に限らず、県外企業からも相談をいただけるようになって、たくさんの企業の方々と一緒に、ものづくりDXを目指して試行する機会を増やしていきたいと考えています」(小林氏)